交通事故ウラ話

1章:負うもの・失うもの
2章:事故発生時のこと
3章:事故後のこと
4章:自動車保険のこと
5章:事故防止のこと

5章:事故防止のこと - 事故にあいやすい人って?-

事故防止のこと - 事故にあいやすい人って?-

備えあれば憂いナシ。事故防止のために今できることを、交通安全活動に取り組む団体(財)日本交通安全教育普及協会の加藤さん・小池さんに聞いてみました。

事故防止のためにできること

編集部:交通死亡事故って年間どれぐらい起きているんですか?

交通安全教育普及協会さん(以下、「普及協さん」): 平成20年中に交通事故で亡くなった方の数は5,155人。1時間42分に1人亡くなっている計算になります。
*事故発生から24時間以内に亡くなった方の数です。

編集部:交通事故で一番多いのはどんなパターンですか?

普及協さん:「追突」と「出合い頭」。この2つが圧倒的に多いです。

編集部:そうなんですか! では事故が起こりやすい時期というのはあるんでしょうか。

普及協さん:どの月も平均的に事故は起こるのですが、特に多いのは年末ですね。

編集部:交通量が増える上に、浮足立つ季節ですものね…。ところで、事故にあいやすい人には何か傾向があるんでしょうか?

普及協さん:こんな人が!というのは特にないと思いますが、年齢層で見てみると高齢者の方が全体の約半数を占めています。

編集部:そんなに大きな割合を占めるんですか。高齢者の数は今後ますます増えますから、さらに注意が必要ですね。ちなみに、周りを見ていると年齢関係なく、事故を何度も起こす人と、めったに事故にあわない人の2種類いるような気がするのですが…。

普及協さん:確かにありうる話ですね。「危険感受性」の違いということがあります。それが高い人は未然に事故を防ぐことができるのではないでしょうか。同じ交通場面で危険を予測できる人と、できない人がいるとすれば、事故にあう確率は違ってくると思います。

編集部:危険感受性を磨くにはどうしたらいいですか?

普及協さん:普段から車に乗っているときだけでなく、歩いているときや自転車に乗っているときも「もしかしたら」という気持ちを持つことが大切ですね。また、よくある事故の形態や危険のパターンを知っておくことや教材などでトレーニングすることも効果があると思います。最近は自動車保険の付帯サービスとして、WEB上でトレーニングを受けられるものもありますが、私たちも開発に協力しています。

編集部:危険を予測する力が上がれば自信もついて、運転もより楽しくなりそうですね。

普及協さん:あとは自分のよく通る道で、過去にどんな事故が起きたのかを知っておくのもよいでしょう。
*参考:全国交通事故多発交差点マップ

編集部:これは参考になりますね! 早速、自宅近辺のマップを見てみたいと思います。さて、一方で、「相手がぶつかってきた!」という事故は、いくら気をつけていても防ぎようがない…。そんな事故でも何とか被害を最小限に食い止める方法ってないですか?

普及協さん:シートベルトの効果は皆さんもご存知ですよね。昨年から後部座席のシートベルト着用も義務化されました。そのシートベルトと同じぐらい大切なのに、あまり知られていないのがヘッドレストの効果です。正しく調整していますか?

編集部:あまり気にしていませんでした…。

普及協さん:追突事故はもっとも多い事故ですが、ヘッドレストが正しく調整されていないと追突されたときに首への衝撃が軽減できません。そのため首などを負傷する人も多く、対策が必要です。ヘッドレストは目・耳の延長線上に合わせるのが正解。覚えておきましょう。

意外に知られていないこと

編集部:事故は突然やってくるもの。日頃から危機意識を高めておくことが大切ですね。他にも「交通安全」について、私たちが意外に知らないことって何かあるんでしょうか。

普及協さん:そうですね。たとえば、麻生総理が今年のお正月にこんな宣言をしたのはご存知ですか?「新たな年を迎え、私は、今後10年間を目途に、更に交通事故死者数を、半減させる決意をいたしました。この目標の実現は容易ではありませんが、政府、関係団体、国民を挙げて力を結集し、世界一安全な道路交通の実現を目指してまいります」と。

編集部:全然知りませんでした〜。

普及協さん:国から基本計画が発表され、都道府県や市区町村でも同じように計画されています。平成18〜22年度までの第8次交通安全基本計画では「平成22年までに交通事故死者数5,500人以下」という目標がありましたが、これは既に達成されました。

編集部:半減という目標も達成できればすばらしいことですね! ところで、私たちが意外に知らない法律や罰則なんかもありますか?

普及協さん:2008年6月から「後部座席のシートベルト義務化」が施行されたのはご存知ですよね。

編集部:はい。タクシーでも音声で注意を促していたりしますよね。

普及協さん:現在の取り締まりは高速道路でのみですが、違反すれば1点付加されます。ちなみに6歳以上の子どもはチャイルドシートの義務化から外れますが、今度はシートベルトの着用が必要になるため、未着用の場合は違反対象となります。しかし、140センチ以下の子どもにシートベルトを締めた場合、身長が低いため正しく着用できず、首にかかってしまうなど危険です。この対応策として、ジュニアシートを使って高さを調整をする必要があります。

編集部:ジュニアシートの売れ行きが伸びていると聞いたことがあります。お金はかかりますが命には代えられませんからね。

普及協さん:それ以外では、飲酒運転は本人だけでなく、運転することを知りながらお酒を提供したお店側や同乗者の「飲酒運転幇助行為」に対しても罰則(懲役又は罰金)が下されることはご存知ですよね?

編集部:はい、ニュースでもよく話題になっていましたからね。でも具体的に「飲酒運転幇助行為」の罰則はどれぐらい重いんですか?

普及協さん:最も重いもので「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。
*詳しくはこちら

編集部:あと最近、初心者マークや高齢運転者マーク以外に、蝶々や四葉のクローバーのマークも見かけるのですが、何のマークなのかわからないという人も多いようです。

普及協さん:蝶々のマークは「聴覚障害者マーク」。四葉のクローバーのマークは「身体障害者マーク」です。周囲のドライバーは配慮して運転して下さい。
*詳しくはこちら

編集部:あと最近、車道をすごいスピードで走る自転車も増えましたよね。たまにヒヤっとすることも。でも自転車は「軽車両」だから車道を走らないといけないんですよね。

普及協さん:はい、そうです。ただし、「自転車及び歩行者専用」標識で指定された場所や、車道又は交通の状況からみてやむを得ない場合、また70歳以上と13歳未満の方及び身体の不自由な方は歩道を自転車で走行してよいことになっています。でも、歩道はあくまで歩行者が優先ですので、歩行者の迷惑にならないよう走行して下さい。
*自転車の交通ルール詳細はこちら

編集部:事故防止のためにできることって意外にたくさんあるんですね。交通ルールの勉強も危険予知力トレーニングも、教習所を卒業すると疎遠になり、意外と知らないことが多いことに気づきました。加藤さん、小池さん、貴重なお話をありがとうございました!

参考サイト
交通安全(JAF)

もくじ

1章:交通事故で負うもの・失うもの

2章:事故発生時のこと - 直後の対応が肝心!-
・事故発生時のTODO
・事故現場でのタブー

3章:事故後のこと - 示談で解決が王道?もらえるお金は?-
・解決までの流れ
・示談とは
・意外に困る事故後の生活
・交通事故で使える保険
・交通事故でもらえるお金

4章:自動車保険のこと - 元販売員が業界のウラを暴く?!-
・どんな保険に入るべき?
・保険会社はどう選べばいいの?
・あなたはモンスターカスタマーになっていない?
・ビル・ゲイツを轢いたらどうなる?!

5章:事故防止のこと - 事故にあいやすい人って?-
・事故防止のためにできること
・意外に知られていないこと

監修者プロフィール(5章)

財団法人 日本交通安全教育普及協会
http://www.jatras.or.jp/
交通安全を啓蒙するべく、指導者の育成研修会やセミナーの開催、情報提供などの活動に精力的に取り組んでいる。国や地方公共団体、民間企業からの依頼で、交通安全教材の開発なども行っている。