よくF1中継で解説者が言う『スチュワード』さんって、F1の世界ではとてつもなく偉い人のようですが、一体どんな人?
「スチュワード」…確かに人の名前みたいですが、違いますよー。スチュワードは特定の個人を指す名称ではないんです。英語で「steward」は「執事」、つまりレース・スチュワード=「競技審査委員」。個人名ではなく、役職名だったんですね。
スチュワードは、レースでのレギュレーションに基づく審査・審議を担当しています。ちなみにFIAのレース・スチュワードは1人ではなく複数名(2008年F1の場合は、各イベントごとに3名ずつ選出)で構成されています。
F1の他にも、WRC(世界ラリー選手権)やWTCC(世界ツーリングカー選手権)などのFIAが催行するモータースポーツ競技それぞれに、レース・スチュワードが設けられています。
セーフティカーって何?どんな状況になると出動するの?
事故や衝突などのトラブルがあったときに、安全に走行できるようになるまでにレースを先導するのが「セーフティーカー(SC)」。出動するのは以下の場合です。
- レース中のクラッシュやアクシデント、マシントラブルなどで他車に危険が及ぶ可能性があると判断されたとき
- 悪天候などコースコンディションの悪化により、レインタイヤ(厳密に言うとその中でも滑りにくいエクストリームウェットタイヤ)を使用しても危険が予測される状況であると判断されたとき
一部特定のサーキットでは毎年のように起こる状況ですから、皆さんも何度かご覧になったことがあると思います。
滅多にないと思いますが、記憶に新しいところでは昨年2007年の日本GPがまさにこの状況で、決勝スタート時刻になっても強い雨が止まず、やむを得ず「セーフティカー先導によるレーススタート」という、極めて稀なケースだったと思います。
ちなみに、いずれの場合もSC導入を決めるのは、FIAの「スチュワード」です。スチュワードについては、コチラで詳しく説明しています。
セーフティカーがコース上にいる時にやってもいいこと・すべきことって?
- すべきこと
- やってもいいこと
すべての競技車両はSCの後方でその時点の順位どおりに並んで低速走行し、周回遅れ(ラップダウン)の車は、先頭にいるSCを追い抜いて、順位どおりの隊列に整列しなければならない
ピットレーンが閉鎖中の場合もピット作業(パーツやタイヤの交換作業など)は可能
セーフティカーがコース上にいる時にやってはいけないこと(ペナルティの対象)って?
- コース上での追い抜き
- ピットレーン出口での信号無視
コース上での追い抜きは厳禁です。前走車をうっかり追い抜いてしまうと、通常の場合は「ドライブスルーペナルティ(レース中にピットに入って決められた秒数の時間稼ぎを課せられる罰則)」が適用されます。ただし、追い越し行為自体の性質がきわめて故意的かつ悪質であった場合などはこの限りでなく、更に厳罰となる場合もあります。
信号は信号ですから絶対です。無視すると即刻黒旗失格となります!
2007年カナダGPでのマッサとフィジケラの失格や、2008年のカナダGPでのハミルトンとロズベルグの接触など、ピットレーン出口の信号は非常に見落としやすいようで、これについても異議を唱えるドライバーが一部にいるようですが…
※「給油行為の禁止」は、2009年から変更になりました。
セーフティカーが出動するとレースにどんな影響があるの?
F1中継の解説を聞いていると、SCが出ることで"有利になるドライバー"と"損するドライバー"がそれぞれいて、それでレース自体の展開が変わる、レースがより面白くなるとよく言いますよね。その理由は以下の通り。
SCが出ると各車は一斉に減速して順位どおりに整列し、編隊走行を義務付けられます。ということは、大差でリードしていた車はSC導入によって、せっかく開いていた後続車との差がなくなってしまいますし、逆に、どうしても前走車との差を縮められずにいた車はSCのおかげでぴったり後ろにつくことができます。
つまりSCが役目を終えて通常のレースが再開された後、勝負の行方がガラッと変わる可能性が高くなるのです。
さっきまで大差でトップだった車がオーバーテイクされたり、本調子を出し切れていなかった車がSCによって一息ついたことで一気にリズムに乗り突然調子を上げるなど、思いがけない展開が期待できるわけです。
あまりトラブルやアクシデントは起こってほしくないものですが、一見地味に思えるSC、実は非常にスパイシーな存在なんですよ。
Text by:ヱフワンねーさん





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